カルシウム
Calcium
📋 クイックサマリー
骨の主要構成成分。日本人に不足しがちな重要ミネラルで、ビタミンDとの組み合わせが最も効果的。過剰摂取はサプリからのみ注意。
⚠️ 注意点
- • サプリからの過剰摂取(>1500mg/日)は心血管リスクの可能性
- • 鉄・亜鉛の吸収を阻害する
- • 食事からの摂取を優先
📊 エビデンスマトリクス
| 効果 | エビデンスレベル | 効果の大きさ | 研究数 |
|---|---|---|---|
| 骨密度維持・骨折予防 骨の主要構成成分。特にビタミンDと組み合わせで効果最大 | Lv.A | 中程度(ビタミンDとの組み合わせ) | 60件 |
| 筋収縮・神経伝達 細胞内カルシウムシグナリングは生命維持に不可欠 | Lv.A | 確立(生理的役割) | 20件 |
| 大腸がんリスク低減 複数の観察研究・一部のRCTでリスク低減を示唆 | Lv.B | 小〜中程度 | 20件 |
| 体重管理サポート 当初期待されたが、大規模RCTでは効果が限定的 | Lv.C | 小 | 15件 |
骨の主要構成成分。特にビタミンDと組み合わせで効果最大
細胞内カルシウムシグナリングは生命維持に不可欠
複数の観察研究・一部のRCTでリスク低減を示唆
当初期待されたが、大規模RCTでは効果が限定的
概要
カルシウムは体内に最も多く含まれるミネラルで、そのほとんどが骨・歯に蓄積されています。牛乳・乳製品・小魚・緑葉野菜・大豆製品に豊富です。
日本人成人の平均カルシウム摂取量は推奨量(男性800mg、女性650mg)を下回っており、日本人全体で不足気味の栄養素です。
作用メカニズム
骨の主要構成成分であるヒドロキシアパタイト(カルシウム + リン酸の結晶)を形成します。
細胞内では第二メッセンジャーとして機能し、筋収縮・神経伝達・ホルモン分泌を制御します。血清カルシウムは副甲状腺ホルモン(PTH)・カルシトニン・ビタミンD3によって厳密に調節されています。
エビデンスの詳細
骨密度・骨折予防
Bollandら(2015)の大規模メタアナリシスでは、カルシウムサプリ(ビタミンDなし)が骨折リスクを有意に低下させなかったことが示されています。しかし、ビタミンDとの組み合わせでは骨折リスク低下効果が確認されています。
心血管リスクの懸念
複数のメタアナリシスで、カルシウムサプリ(特に食事と組み合わせで1000mg/日以上追加)が心筋梗塞リスクをわずかに増加させる可能性が示されています(Bolland et al., 2010)。食事からのカルシウムではこのリスクは見られません。
重要: このためサプリではなく食事からのカルシウム摂取を優先することが推奨されます。
研究の限界点
- カルシウムと同時に摂取するビタミンD量が研究間で異なる
- 心血管リスクについては依然議論中
用量・タイミング
- 推奨摂取量(日本): 成人男性 800 mg/日、女性 650 mg/日
- 耐容上限量: 2500 mg/日
- サプリ: 食事から不足する分のみ補う(通常200〜500 mg程度)
- 分割摂取: 1回500mg以下に分けると吸収率が向上
- 形態: 炭酸カルシウム(食事と一緒)、クエン酸カルシウム(空腹時も吸収可)
安全性・副作用
- 便秘: カルシウムサプリで起こりやすい
- 腎結石: 過去は懸念されたが、食事からの摂取では逆にリスク低減の可能性
- 心血管リスク: サプリからの高用量で懸念(食事からは問題なし)
相互作用
- ビタミンD: 組み合わせで骨への効果が最大化される
- ビタミンK2: カルシウムを適切に骨に誘導する
- 鉄・亜鉛: 同時摂取で吸収が阻害される。時間をずらして摂取
よくある質問
Q: 牛乳が苦手ですが、カルシウムを摂るには? A: 大豆製品(豆腐・納豆)・小魚(しらす・煮干し)・ひじき・小松菜などの緑葉野菜が代替として有効です。
Q: カルシウムサプリはいつ飲めばいいですか? A: 食事と一緒に摂取すると炭酸カルシウムの吸収が良くなります。就寝前の摂取も骨代謝のリズムに合わせて有効とする研究があります。
参考文献
- Bolland MJ, et al. (2015). Calcium intake and risk of fracture: systematic review. BMJ, 351, h4580.
- Bolland MJ, et al. (2010). Effect of calcium supplements on risk of myocardial infarction and cardiovascular events. BMJ, 341, c3691.
- Bischoff-Ferrari HA, et al. (2012). Calcium intake and hip fracture risk in men and women: meta-analysis. American Journal of Clinical Nutrition, 86(6), 1780-1790.
- Weingarten MA, et al. (2005). Dietary calcium supplementation for preventing colorectal cancer and adenomatous polyps. Cochrane Database of Systematic Reviews, (3), CD003548.
- Ross AC, et al. (2011). The 2011 Report on Dietary Reference Intakes for Calcium and Vitamin D. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 96(1), 53-58.
- Heaney RP, Weaver CM. (2005). Calcium and vitamin D. Endocrinology and Metabolism Clinics of North America, 32(4), 921-932.